歴史・沿革

歴史

エルメックの世界一

世界で最初にパソコンを使った工業計測を行ったのはエルメックです

世界に広がるエルメックシステム
世界で最初にパソコンを使って本格的な工業計測システムを作ったのはエルメックである。
オイルショック直後の1979年、創業2年目の時である。創業者の平野健一郎は急遽アメリカ・タンディ社から取り寄せたパソコンTRS-80を覗き込んでいた。国内で個人や中小企業が手にできるのはZ80と言う8bitCPUを乗せたワンボード・コンピュータしか無い時代であった。このパソコンのCPUは8Bit、メモリはMAX24kBであるが、フロッピーディスクをベースにしたDOS(Disk Operating System)が付いている。そしてBASICとFORTRANが走る。平野は思った「よーし、これだ!」

このパソコン用に拡張ボックスを開発して、そこに高速A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、P I/O、カウンタ、タイマが動くようにしてやろう。そうすれば、ミニコン(※1)と同じ計測システムがつくれる。

ここから平野のパソコン計測システムへのチャレンジが始まった。

今ではパソコン計測システムは珍しくは無いが、1979年にはIBMでさえパソコンは作っておらず、マイクロソフトのOSもまだ存在していなかった。高価なミニコンを使った大規模なデータ集録システムしか無い時代に低価格なパソコン計測システムは分散処理システムの幕開けとなった。

エルメック1号機はBASICで作られ、H電気殿に金属皮膜抵抗温度係数自動選別機として納入された。

エルメック2号機はM工業殿に納められた自動車エンジンのキャブレタ燃料流量判定装置である。このシステムは自動車エンジンのアイドリング、30km/h、80km/h、エンジンブレーキ時の状態を、負圧をシミュレートしてキャブレタに流れ込む燃料流量を計測するものである。PIDでサーボモータを制御して負圧を発生させ、燃料の流量計測、設定バルブはステッピングモータで制御をする。これらの全部の動作を8bitのCPUに24kBのメモリ上でFORTRANを走らせて行わせた。ミニコンを使ったシステムでもやっと出来るような事を作り上げたことは、業界からも「離れ業だ」と注目された。

ミニコンシステムのソフトの改造費にも満たない予算で、20台のパソコン計測制御システムが完成してしまった。分散処理システムである事は、別の大きなメリットを生んだ。それはCPUがダウンしても生産が止まるのは1/20で済むと言うことであった。それまでの集中システムではCPUダウンに備えて各検査ステーションには手動運転モードが設けられていたが、分散システムではそれは削られ大幅コストダウンにつながった。

このおもちゃと言われたTRS-80のシステムはその後2000年まで20年間動き続けた。そして創立30週年の現在までに2000以上のパソコン計測システムを世に送り出してきたエルメックの技術と品質に対するこだわりはこの時にその基礎が作られた。

それでは時間をもう一度1979年にもどし、当時エルメック本社であった、アパートの一室に舞台を移す。

平野と数人の仲間がTRS-80を囲んでいる。
当時のパソコンはおもちゃの延長線上に有り、工業用には使えないと言うのが定評であった。取り寄せたTRS-80を徹底的に分析した平野は、パソコンと言ってもコンピュータはコンピュータだ、必要な全ての機能は備えている、使用している電気部品等の品質が問題であると喝破した。

過酷な工業用に使用しても耐えられるように電源に本格的な放熱板を付ける等して、徹底的に改造したが、連続運転に耐えるパソコンはなかなか出来あがらなかった。何日も徹夜が続き、最後の処置を終わった時、夜は白々と明けスズメのさえずりが聞こえていた。A/Dコンバータを装着し、連続運転テストのスイッチを入れ、平野と仲間たちは眠りに着いた。24時間後一つの集録ミスも無く全てのデータを取り込んでいるのを確認した。これが世界初の工業用パーソナルコンピュータシステムが生まれた瞬間である。

※1)ミニコン: 1960~1980年代に於いて、当時億単位であったメインフレームに対して、500万円~購入できた小型(小型ロッカー程度)の中小企業が手を出せるコンピュータをミニコンと呼んだ。今は無きDECが代表的なメーカー。

沿革

1977◆社長・平野健一郎は、1976年8月タケダ理研工業(現アドバンテスト)退職後、長年培ってきたアナログとデジタルの技術を生かし、エレクトロニクスとあらゆる産業をインターフェイスする会社として、10月にエルメックを設立する。
1978◆デジタル温度計及び検査機器の開発
1979◆パソコンTRS-80をベースにした計測、制御システムの開発
◆世界で初めてミニコンに変わるDOSベースのパソコン分散処理システムの先駆けとして燃料流量自動調整判定装置を開発
1980◆パソコン用I/Oインターフェイスの規格化、EC-8800販売始める。
1981◆海外貿易を始める。中国 C大学
1982◆ステッピングモーター角度試験器を開発。N社 業務拡張により事務所移転。
1983◆NECシリーズ、PC-8800、8000用I/Oインターフェイス開発
◆PC-8800、8000用A/Dコンバーターサブシステム開発
1984◆NEC.PC-9800、H社B16用工業計測制御システム及びI/Oインターフェイス開発
◆NECシリーズ PC-9800用A/Dコンバータ開発
◆ガン細胞観察装置を開発
1985◆外部DMA型A/DコンバータEC-2390の開発
◆パターン発生用A/Dコンバータ開発
◆外部DMA型A/Dコンバータを高速大容量トランジェントメモリとして販売。
1086◆筋電データ計測システム開発
◆ホール音響特性試験システム開発
1987◆常時監視システム開発。N社
◆エンジン燃焼解析システムの開発
1988◆高速画像データ計測システムの開発
◆音響模型特性解析システム及びシミュレーション音場再生システム開発
1989◆音声振動解析装置を開発
◆16bitA/DコンバータEC-2396開発
◆動的歪測定システムの開発
◆発電機補機軸受故障診断システム開発
◆高速流体計測解析システム開発
◆行動実験制御解析システム開発
1990◆NEC.PC-9800用超高速大容量外部DMA型A/DコンバータEC-2390A/Bシリーズを開発
◆圧延データ計測制御システム開発 H社
◆風洞内熱線流速計処理システム開発
◆ポンプ振動モニタリングシステム開発
◆回転機械データ解析システム開発
◆車載用小型データ計測システム開発
◆連続データ収録解析システム(ペーパーレスレコーダープログラム)開発
◆車輪フラット検知システム開発 K社
◆過度試験記録システムの開発(車載用小型計測システム)
1991◆PC-H98用32bitバス超高速バスマスターDMA型A/Dコンバータ(サンプリングスピード10MHz)EC-2398Hの開発
1992◆車載用ブレーキシステム開発 N社
◆エンジン音振判定システム開発
◆エンジン耐久試験システム開発
◆風圧計測及びデータ処理システム開発
◆ネガフィルム測光データ収録システム開発
1993◆連続画像取込システム開発
◆電子ミッション分析システム開発
◆車載トラッキングFFTアナライザー開発
1994◆睡眠自動判定記録システム開発
1995◆ターボ樹脂インペラ挙動計測システム開発
◆PCIバス採用32bit最高2MHz高速A/DコンバータEC-2370の開発
1996◆電気自動車バッテリー計測システム開発
◆風洞試験データ解析システム開発
◆総合実験制御システム開発
◆ノートパソコン対応PCカードA/DコンバータEC-2360の開発
◆高速多チャンネルA/DコンバータEC-9840の開発
1997◆肺音解析診断システム開発 N大学
◆ノートPC対応RAM搭載型12bitA/DコンバータEC-6600の開発
1998◆行動実験制御解析システム開発
◆異音・振動解析検査システム開発
◆異常音判定システム
1999◆自動車エンジン生産ライン検査・生産管理システムの製造 N社
◆車内騒音分析データ処理装置開発
◆RTACYボードデータ集録装置開発
◆原子炉臨界実験データ集録解析装置
◆PCIバス16bit高速A/DコンバータEC-2376の開発
◆CARDバス16bit高速A/DコンバータEC-2386の開発
2000◆PCロジックアナライザー開発
◆微量細胞情報検出システム開発
◆超高速40MHz大容量127MB PCIバスDMA型A/DコンバータEC-6900の開発
◆超高速100MHz大容量4GB PCIバスメモリ内蔵型A/DコンバータEC-6800の開発
2001◆心電図のウェーブレット解析による非侵襲型不整脈・心筋障害の検査診断システムの開発
◆エンジンモータリング検査システムの開発
◆液晶面ラビングむら検出装置開発
2002◆MTB検査装置の製造 A社
◆振動判定システム I社
◆1/3オクターブ音振判定装置の製造 I社
2003◆MTB検査装置 N社
◆コンプレッサー音振判定装置 S社
2004◆固有値振動判定システムの製造 N社
◆自動車エンジン音振判定装置の製造 R社
◆自動車エンジン音振判定装置の製造 N社 タイ
◆コンプレッサー音振判定装置 P社
◆高速1M同時・24CH・16ビットPCI―ADコンバータEC-2396の開発
2005◆シャーシダイナモ振動検査装置の製造 M社
◆自動車エンジン音振判定装置6システムの製造 R社
◆コンプレッサー音振判定装置2システムの製造 P社 中国
◆自動車エンジン音振判定装置  8システムの製造 D社 中国
2006◆自動車エンジン音振判定装置  6システムの製造 Y社 台湾
◆自動車エンジン音振判定装置  27システムの製造 R社 韓国
◆自動車エンジン音振判定装置4システムの製造 R社 スペイン
2007◆ブレーキディスク固有振動判定装置 D社
◆自動車エンジン音振判定装置6システムの製造 N社 北米
2008◆スターターモータ音振判定装置の製造 D社
◆ロータリーコンプレッサー音振判定装置の製造 H社
◆ディーゼルエンジン音振判定装置の製造 G社 北米
◆表面計測器振動判定装置の製造 O社
◆ディーゼルエンジンターボ異音判定装置 6システムの製造 G社 ポーランド
◆コンプレッサー音振判定装置の製造 K社
◆自動車エンジン音振判定装置3システムの製造 N社
◆超高速PCI Express ADコンバータEC-6980の開発
2009◆コンプレッサー音振判定装置の製造 H社
◆自動車エンジン音振判定装置2システムの製造 A社
◆冷蔵庫庫内部品音振判定装置4システムの製造 H社
◆自動車エンジン音振判定装置5システムの製造 R社 インド
◆コンプレッサー音振判定装置の製造 K社
2010◆コンベアローラ異常検出装置の製造 K社
2011◆絶縁アンプユニット・信号選択中継端子ユニットの製造 T研究所
2012◆地震動記録装置の製造 S研究所
◆2M・16CH・12ビットUSB-ADコンバータEC-2320の開発
◆1M同時・8CH・16ビットUSB-ADコンバータEC-2330の開発
2013◆時間周波数解析システムの製造 O学校
◆ファイナルMTBシステムの製造 A社
◆QRS除去ソフトウェアの開発
◆液晶ラビング試験機システムの開発
2014◆MTB検査装置の製造 A社
◆対象物近接音自動解析支援プログラムの開発 N社
◆CAM中心角計測システムの製造 D社 中国
2015◆電子レンジ異音判定システムの製造 P社
◆家庭用心電計クラウドサービスの開発支援 U社
2016◆加振機データ解析装置の製造 M社
◆ハンディタブレット型音振データ収集器 N社
2017◆自動車エンジンテストベンチ検査システム製造 N社
2018◆USB接続16Bit 高速大容量A/Dコンバータ EC-2350の開発
2019◆ウェーブレット解析とディープラーニングによるAI音振判定システムの開発
◆CAM中心角度測定装置 N社 タイ
◆200k同時・32CH・16ビットUSB-ADコンバータEC-2352の開発
◆1M同時・32CH・16ビットUSB-ADコンバータEC-2353の開発中
2024◆10月 代表者交代 石野和明 社長就任、平野健一郎 会長就任